藤吉ネット|誹謗中傷問題を扱う弁護士藤吉修崇

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木村花さんにみる誹謗中傷問題とどこまで書けば違法なのか

先日、女子プロレスラーでスターダムの看板選手であった木村花さんが亡くなりましたね。

この原因としてインターネット上の誹謗中傷を苦にしての自死と考えられております。

 

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僕はインターネット上の誹謗中傷問題をこれまで弁護士として多く扱ってきました。

この経験から僕が考える今回の問題や今後の課題また、どういった投稿が違法になりどこまでがセーフなのかについて記します。

 

 

僕が誹謗中傷問題に取り組む理由

僕がなぜ、数多くある弁護士の仕事の分野の中で誹謗中傷を扱ってきたのかと言うと、一番の理由は匿名の誹謗中傷と言うものが非常に嫌いであることです。

僕は名前を出したうえで堂々と批判することや反対意見を述べることに対しては全く問題がないと思っております。

名前を出している以上これに対して言論をもって対抗できるからです。

しかし、匿名は違います。

匿名→実名に対する攻撃は、自分は安全地帯にいながら相手に向かって石を投げる行為と同じです。

そのため、僕はこの匿名の誹謗中傷を出来る限りなくしていきたいと言う思いで、これまでこの分野を扱ってきておりました。

特に今回の件が起きてからその決心はより強くなったといえます。

もちろん、弁護士事務所の売上のためという側面もありますが、その点は、この動画を観てもらえればと思います。

www.youtube.com


炎上という事象

インターネットの炎上は本当に瞬く間に拡がります。

嫌なら見なければ良いだろうと言う意見があることを十分に承知をしておりますが、圧倒的多数である一般人のSNSの利用者にとって、この炎上の速さについていける人はほとんどおりません。

一度小さい火が点くと、あれよあれよと燃え上がっていき、もう少ししたら収まるんじゃないかと言うことを考えながら常にインターネットを見てしまうのです。

ある意味下落をしていく株を持ち続けている心理と似ているかもしれません。

その結果誹謗中傷されるストレスと言うのは大変なものになり、次第に気力などが削がれていきます。

実は僕もかつて炎上と言うほどでもないのですが、2チャンネルと言う匿名掲示板で叩かれたことがあります。

そこまで大きく叩かれたわけではないのですが、匿名の人達による名指しの批判というものはそれなりにストレスになります。

 

実際2割の人間が8割の炎上を作ると言われております。

これは僕はある意味正しいと思っており、これまで発信者の開示を数多く手掛けてきた経験上、数人が自作自演を繰り返していたということはたくさん見てきております。

しかし、書かれた方としては世界中の人に非難されているような感覚になるのです。

 


誹謗中傷を行う理由

ではなぜ彼らは誹謗中傷を行うのでしょうか。

僕は誹謗中傷を行う心理は自粛警察に似たものがあると思っております。

自分が正義だと思い込み、相手に対して自分の価値観を力ずくで押し付ける行為なのです。

そして、自主警察と同じで匿名で相手には誰だかわからないようにやるのも特徴です。

また、僕の経験上ネット上で誹謗中傷する人は実生活ではあまりコミニケーション能力が高くない人が多く、他人を誹謗中傷することによりその誹謗中傷に対してネット上の住民が同意してくれたり賛同してくれたりすることに喜びを感じてしまい、その成功体験からますます誹謗中傷に走ると言う方が多いのではないでしょうか。

 

どんな書き込みが誹謗中傷になるのか

どんな言葉が誹謗中傷になるのか

よく僕の事務所に寄せられた誹謗中傷を受けたという相談の中には、それは誹謗中傷ではないだろうと言うものが本当に沢山あります。

ちなみに、木村花さんの件以降、書き込んだ人からの相談も増えております。

 

いわゆる単なる批評批判にとどまるようなものです。

例えば簡単に言うとラーメン屋の口コミで「あそこのラーメンは美味しくない」などと書いたようなケースです。

確かに、「美味しくない」と言う言葉は、作り手を傷つける言葉ではあるのですが、口コミと言うものは良い情報だけが残ってしまうような状態であると口コミとしての役割を果たせません。

良い点と悪い点が入り混ざって我々読者が取捨選択できることこそが一番の役割なのです。

例えば、あなたが「〇〇 レビュー」という単語で検索した場合よいことばかりしか書いていない記事は参考になりますか?

もちろん買うことを決めていて、背中を押してもらいたいだけというような場合はいい記事なのかもしれませんが。

 

ではどういった言葉が死亡中傷になるのか簡単に説明すると以下の3類型が典型的なものと言えると思います。

・事実無根のこと

・執拗にプライバシーを暴露するもの

・度を超えた批判

ラーメン屋の例で説明しますね。

 

事実無根のこと

例えば、入ってもいないのに、「あそこのラーメンは虫が入っていた」というものです。

事実無根のことで、その対象者の評判を落とすものは一発アウトです。

事実無根でも、評判が下がらないものは大丈夫です。

たとえば、来てもいないのに「有名人が来た」などと書いたような場合です。

 

プライバシーの暴露

プライバシーの暴露はそれが有益な情報の場合は許されることもります。

例えば、「あの店主は喫煙者だ」というものは、料理人が喫煙者かどうかというのは一応役立つ情報だと思われるのでセーフですが、不倫をしているなどとラーメン屋には関係ないような情報だとアウトになります。

事実かどうかは問われません。

事実らしく受け止められればアウトになります。

ちなみに、プライバシーは先程の類型と異なり、事実であればあるほど書かれた本人にはダメージは大きくなります。

 

度を超えた批判

事実自体は書かなくあくまで人によって評価が分かれるもので、行き過ぎたものは違法になります。

これも細かく分けると2類型あります。

商品批判型

これは、例えば美味しくないくらいなら許されますが、「吐き気がするくらいまずい」などと書けば度を超えたものとして違法になりえます。

ただし、こちらの類型は全般的には違法になる確率は低く、ある程度のネガティブな批判は許されることが多いのです。

だから番組上で木村花さんの行動に対する批判についてはこちらに該当し、違法にならないケースが多いと思います。

そういったネガティブな情報もときには我々消費者にとっては有益と言えるからです。

 

人格否定型

あの店主は、生理的にうけつけないなど、個人の心情を著しく害するものがこの累計になります。

木村花さんに対する容姿などの中傷はこれにあたるでしょう。

この場合は商品批判型と異なり違法とされる範囲が広いと言えます。

当事務所でも「くっそブス」と書いた開示が認められたケースがございます。

 

こちら今までの説明をユーチューブでわかりやすくまとめました。

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誹謗中傷をしてしまったら

仮にこれまでの記事を読んで、自分の書き込みが誹謗中傷であると感じたら、削除できる記事であればできる限り早く消しましょう。

もちろん、一度広まった情報は消せるものではありませんが、それでも少しでも人を傷つける機会を減らすことができると思います。

まず、今後インターネットを利用するに当たり、それがまっとうな批判なのか、感情のままに中傷になっていないか、冷静に考えてから投稿するといいでしょう。

投稿ボタンを押す前に、これが名前を出してでも書けるのかを一度立ち止まって見るといいかもしれません。

 

 

誹謗中傷をされたら

これらの類型にあてはまる誹謗中傷をされ、対象記事の削除や投稿者の特定をしたいと考えたら以下のサイトにアクセスしてください。

hibouchushou.net