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【確定申告直前】これって経費になるの!?

コロナ禍の中、副業を始めたり個人事業主になって事業を始めたりで、初の確定申告をしなければという人もいるのではないでしょうか。

税理士でもある私は「何が経費になるのか」を頻繁に聞かれるので、今回は初心者向けに「経費になるもの・ならないもの」の基準をざっくりと紹介します。

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所得税の経費の考え方

まず、個人事業主は基本的に所得税の申告となるでしょう。そして、所得税利益に対して課税されます。

所得税の利益は「売上−経費」によって算出され、売上に対して課税される消費税や所有資産に対して課税される相続税などとは異なるものです。

つまり単純に、売上が上がれば税金は増え、経費が増えれば税金は減ります。

 

一方厄介なことに、経費になるかどうかの明確な基準を示している資料はなく、Google先生もしっかりは教えてくれません。

税務署の見解は「事業に直接関連するもの」とのことですが、我々税理士は「間接的に関連するものも含む」と、こんなところでも見解が割れているのが現実です。

ただ、共通するのは「事業に関係するものである」ということ。

 具体的に、よく質問されるものについていくつか実例を出してみましょう。

経費になるものとならないもの

①事業に使うパソコンや周辺機器

これは当然、経費になります。

イラストレーターのペンタブや、動画編集のための編集ソフトなどが当てはまります。

ただ、高額なものは何年かに分けて経費にする必要があるためご注意ください。

②本や雑誌

事業に関係しているものであれば、経費になります。

「新聞は直接仕事に関係ないけどどうでしょう?」などと聞かれることがありますが、事業に関係する情報を仕入れるために購読しているなら問題ありません。

職種によっては漫画もレンタルDVDも経費になるということです。

仕事に対してどのような必要性があるかを説明できるかが重要でしょう。

スマートフォンの月額費

これは難しいところです。

仕事のために2台持ちしていて「片方は完全に仕事用」といった場合であれば、一台分は経費になります。

一方プライベートと共用の場合は、私用でも使っているため全額経費にはできません。

仕事とプライベートの使用割合を明確に説明できるようにし、半々なら半額を経費にしましょう。

④家賃

店舗やオフィスとして専用で契約していれば、全額経費になります。

一方、副業や独立したての個人事業主で自宅兼オフィスの場合は、携帯代と同じく全額を経費にはできません。

自宅のうち、仕事とプライベートの面積割合を算出し按分することで経費に出来得ます。光熱費も同様です。

⑤飲食店のレシート

「飲み会のレシートは経費になると聞いて全部保管してます!」と言われることがありますが、すべては経費になりません。

仕事の打合せや接待など、相手や目的をきちんと説明できるものだけ経費としましょう。

とある弁護士は、合コン費用を税務署に全額否認され、将来のお客さんだと抵抗したが無駄でした。

⑥スーツ

「仕事のための新しいスーツを経費に」と考える人がいますが、スーツは基本NGです。

理由は、業務上スーツが必要だと説明するのが難しいからです。

他の服じゃダメか、そのスーツは本当に仕事専用なのかが証明できません。

ただし「YouTube撮影のためにしか着ない」などの理由があれば、クリーニング費用含め全額経費にして問題ないでしょう。

仕入れ代

「商品の仕入れ代は経費になる」は説明するまでもありませんが、これにも注意点があります。

それは「経費として計上できるものは、その年に売れたもののみ」という点です。

副業で物販を始めた人が陥りやすいミスなので、補足してみました。

 まとめ

初心者向けに、経費になり得る基準をざっと紹介しました。

繰り返しになりますが、経費の基準は「事業に必要だと明確に説明できるかどうか」です。

また節税は大切ですが、なんでもかんでも経費に計上にすると残る利益(キャッシュ)が減ってしまいますよ。

そんな暇があったら、事業に注力しましょう。

税金を学び始めると「資産運用や節税を教えます」といった話を見かけることも多いですが、中には情弱を狙った怪しい話も紛れているのでご注意ください。

最後に一言。


「大抵の事業の悩みは売上が伸びれば解決する、節税では解決しない」

 

こちらのYouTube動画では、プレステ5の転売も確定申告が必要だと言う話をしています。ぜひ参考にしてください。